物語 鳥と分身

 

大きな卵が在った

いつからだろう

遥か永遠の昔からのような気もするし

たった今現れたような気もする

ただ 在った

ある時光が降り注いだ

すると

影という分身が現れた

卵と影はただ寄り添っていた

ただ静かに寄り添っていたけど

確実に何かが動き始めた

 

孵化

 

エネルギーが満ちて溢れた時

卵から鳥が誕生した

分身も鳥になった

分身はもはや影ではなく

自由に動き出した

こちらを向けばこちらを向いて

後ろを向けば後ろを向く

いつも写し鏡

お互いがお互いの光と影

 

やがて 鳥は成熟した

分身も同じように成熟した

 

溢れる言葉

立派に成熟した鳥は

見てきた

愛溢れる美しい世界も

分断を巻き起こす闇の世界も

 

知恵を身につけた鳥は

知っていた

恐怖をみれば恐怖が映し出され

愛をみれば愛が映し出されることを

 

もういつ帰ってきてもいいよと

光から言われた時

鳥から初めて言葉が溢れた

「世界で起こる全ての事は

どんなふうに見えようとも

これっぽっちも

私に影響を及ぼすことはできません

ただ

私は選択することが出来るだけ

出来事は映像のように流れていくだけ

私は在りたいように在ることが出来るの

私が知る真実は

ただ光が降り注いで

いつも一緒に影がある

ただ それだけよ」

後ろを振り返ったら

分身から同じように言葉が溢れていた

 

まるで私が影で

私が鏡の向こう側

という事みたいじゃない?

 

鳥は気づいた

分身だと思っていた鳥は

私自身だったのだと

 

鳥はいつも寄り添ってくれる

自分自身に感謝が溢れて

共に光に帰ってゆきました

MIHOKO