移ろえばいい

無機質

女は思った。

私は知っている。
私は抗いようのない川の流れであることを。

どんなに努力しても報われない事や、思っていた以上の幸運がやってくる事。
それは私の心とは別の所にある。

そもそも何のために誰のために努力しているのだろう?
そしてその動機は何だろう?
いくら考えてもわかりようにない。
なぜなら、私が今生きていること自体が生かされている事だから。気が付いたらこの地球といわれるこの世界に居たのだから。

有機質

川は細ければ急流になり、太くなれば緩やかに進み、雨が降れば増水し、大きな地震があれば河津波となって災害をもたらすだろう。
川が変化を起こすことには理由がある。
それは冷徹な法則によって支配されている。
私は人生をそのように感じている。

でもそれとは別に心が在り、心はもっともっと気まぐれで移ろいやすく手に負えず法則性を見つけられずにいる。
それなら、思う存分に移ろえばいいと思う。

MIHOKO