自然光の美しさ

子供の頃、親や学校の先生に暗いところで本を読んだら目が悪くなるからと言われて、何の疑いもなく薄暗くなったら明かりを点けていた。

日常的に絵を描くようになって物の見え方がいろいろ変わってきたが、その一つに自然光を一際美しいと感じるようになった。

昼間の陽だまりの温かさとそこに落ちる影。夕方の溶け合ってゆくような柔らかい陰。

薄暗くなって見えにくいからと直ぐに照明をつけるのは勿体ない。

薄暗い中にハッとするほどの美しさを見るから。
柔らかな影の美しさ。
絵画にぴったりだ。

蛍光灯よりLEDの光は更に硬い。
影も硬い。

今の時代の空気の様だ。

昭和の短調の歌謡曲のような、夕方の薄暗い自然光はそんな雰囲気だ。

その方が落ち着くのは私がその時代を生きたからだろう。

太陽の光は生きている。植物もメダカも太陽の光の方が元気に成長するからそう思う。

自然光は一瞬も止まることなく変化し続けている。なので長時間の予備校のアトリエのデッサンなどは、自然光はシャットアウトして照明でコントロールする。

私は今暗いところで本を読むと目が悪くなるよと言われたら、こう返すだろう。

「明るいだけだと見えるはずのものも、見えなくなるかもしれないでしょう?」

MIHOKO